ポジション3ダブルタイム

P3DT(6)骨盤を立てる、ということ

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P3DT(6)骨盤を立てる、ということ

初級者さん向けにポジション3ダブルタイムのコツを書いています。P3DT(5)から続く。

もう一度「基本姿勢」について考えてみよう

BB1のレッスンの際、主に前説でインストラクターから正しい姿勢についての説明があります。(少なくとも私が受講したBB1ではいくつかのスタジオで同じような説明がありましたから、これは定型になっていると思われます。)

「サドルの一番後ろに座ってください。サドルの前にこぶし一つ入るくらいです。次に、骨盤を立てていきたいので、まず両手で大きく真上に背伸びをします。ぐーっと身体をまっすぐに上に伸ばして、そのまま、腹筋に力を入れて、みぞおちを引っ込めるように背中を丸める感じで身体を前傾させます。肩の力を抜いて両手を軽くポジション2に。このとき体重を腕にかけないように、ハンドルから手を離してもこの姿勢を保てるくらいにお腹に力を入れて身体を支えます。」

ポジション3立ち漕ぎが登場するBB1の場合は、立ち漕ぎの姿勢としてだいたい次のように説明があると思います。

「両手を外側先端ポジション3を握って立ち上がりますが、このときの姿勢はポジション2の座り漕ぎの姿勢のまま、すっと立ちあがります。背中を丸める感じは維持したままです。」

レッスン前に十分に前説の時間がある場合、このように姿勢についての説明があるのが普通だと思います。時間が取れない場合は割愛されて、レッスン中のレクチャーパートあるいはプラクティスパートで説明があることもありますが、内容はだいたいこのような感じです。

今回は、この「骨盤を立てて」に着目してみます。

 

骨盤を立てるってどういうこと?

ほとんどの方は想像できるとは思いますが、そもそも骨盤ってどれだ、というところから見てみましょう。

人体を横から見たのが次の絵です。この絵の赤い部分を一般的に「骨盤」と呼んでいます。この絵はヒトが正しく立っている姿です。この絵では骨盤もきちんと「立って」いると思ってください。

では、「骨盤が寝ている」とはどういう状態かというと...

左側はまっすぐの「骨盤が立っている」状態で、右側が「寝ている」状態です。骨盤が寝る、とは「骨盤が前傾する」という意味ですね。

骨盤が「寝る」とどうなる?

正しい座り方のときに、インストラクターが「骨盤を立てていきたいので...」と言っているのは、「骨盤を寝せたくないので」と言っているのと同義です。骨盤が寝るとどうなるのか、バイクに乗った時の模式図を描いてみました。

Ⓐが「骨盤が立った状態」です。オレンジ色付けした腰の角度に注目してみてください。赤いガイドラインを引きましたが、水平線と腰の角度が90度に近い状態になっています。

一方、Ⓑは骨盤がⒶよりも寝ている状態。水平と腰の角度が90度よりもかなり小さくなってしまっています。骨盤を立てる前傾の仕方は「腰から身体を曲げる」、骨盤を寝せる前傾の仕方を「股関節から身体を曲げる」という表現をすることもあるようです。


実はこれ、ロードバイク(室内で漕ぐスピンバイクではなく、外を颯爽と走る、アレです)の座り方の基本として定着している乗り方らしいです。(骨盤を立てるか、前傾させるか、という座り方については議論があるようですが、一応、骨盤を立てて腰から曲げるのが正解、という風潮のようです。)

では、なぜ骨盤を立てる乗り方のほうがロードバイクに適しているか。あるサイトに解説がありました。要約すると「腰から曲げる(=骨盤を立てる)ほうが、腹筋に力を入れやすく、股関節と膝関節をフリーにしやすく、腿や膝を上げやすくなる」のだそうです。

(下の図はこちらからの引用です)すなわち、骨盤を立てる事によって、腹筋(体幹)に力をこめやすくなり、股関節を楽に回せて脚を回しやすくなる、ということでしょう。「腰から踏む」というんだそうです。

ロードバイクを真剣に乗っている方たちは、ハンドルやサドルやペダルの種類、それぞれの高さや前後の位置をミリ単位で調整して、自分の最大のパワーがバイクに伝わるようにセッティングするらしい。「ハンドルを5ミリ上げて、サドルを6ミリ後ろに動かす」みたいなことが書いてあったりします。ミリ単位ですよ。すごいですね。

われわれフィールサイクリストはまぁセンチ単位での調整でしょうね。でもフィールでもバイクセッティングによっては漕ぎながら違和感が出ますから、ミリ単位の調整もうなずけるところはあります。


骨盤がさらに寝てしまうとどうなるか、もう一つ模式図をご覧ください。

Ⓒ は上のⒷよりもさらに骨盤が寝てしまって、いわゆる「反り腰」になってしまっています。時折こういう漕ぎ方をしている方(女性に多いように感じます)を見かけませんか?模式図を見ても腹筋に力が入らないだろうな、と想像できませんか。たぶん、漕いでいる姿を後ろからみると、身体が左右にぶれてしまっているのではないかと思います。

ご自分がこういう漕ぎ方だと自覚できたら、癖がついてしまう前に早めに修正しましょう。

 

立ち漕ぎではどうなるのだろう

さて、立ち漕ぎ(ポジション3)をするときに、骨盤の角度はなにに影響してくるのでしょう。

いろいろと観察・実検討のすえ、私なりの結論を得ましたのでまた(お得意の)模式図をごらんください。

模式図①と②の骨盤の角度は、それぞれ座り漕ぎのⒶとⒷの角度と同じです。どこに影響が出るかというと、黄色い補助線で示した重心位置に違いが出てくるようです。

②のほうが重心位置が前方にくるのです。模式図ではわかりやすいように黄色線をずいぶん前に引いていますが、実際にはほんの数センチの違いだと思います。ペダルクランクの中心にあった重心位置が、ペダルの前方に移動しています。ただ、この数センチの違いがポジション3ダブルの漕ぎやすさに直結している気がします。

ポジション3ダブルが漕げるようになるとき、「あ、ここだ」という姿勢のポイントを見つけることがあります。(これは64カウントを超える、96カウントや128カウントのポジション3ランを漕ぐときにもあてはまります。)どうもこの最適姿勢ポイントは、その時の体調や、もしかするとバイクによる差異で、その時々で違ってくるように思います。が、一度「これかも?」という姿勢ポイントを見つけられれば、その感覚を大切に忘れないようにして、次回もその感覚を探りましょう。そうしているうちに、自分なりのポジション3ダブルの漕ぎ方を身に付けられると思います。


ポジション3ダブルタイムが漕げない、と悩んでいる方、自分の重心位置を観察してみてください。模式図②のようにペダル前方になっている場合、負荷が脚(特に太腿)にかかります。脚に負荷がかかり続けると、特に前腿がつらくなり、身体を支え切れずに次第に重心が下に落ちてしまいます。(これもたぶん数センチの話です)一旦落ちた重心を持ち直すのは非常に大変。たぶんこの時点で、ダブルタイムのペースを落とさざるを得ません。

もっと極端な模式図をみてください。

お手本の①に③を並べてみました。さきほどの「反り腰」の角度です。こういう漕ぎ方の方も時折見かけますね。②よりも重心が前になるようですね。これはきつそうです。


立ち上がり方・・・

②にならずに①の姿で漕ぐにはどうすればいいか。

ポジション2からポジション3に立ち上がるときに、真上に立つ気持ちで骨盤を立てたまま( = みぞおちからの前傾を保ったまま)スッと立ち上がります。この時、背筋を伸ばすほうが立ち上がりやすい人と、猫背のように身体を丸めたままのほうが立ち上がりやすい人がいるのではないかと思います。

いずれにしても、重心をペダルクランクの真ん中に持ってくれば、重心が前にかかりません。重心が腕にかからないので、ポジション3のハンドルにはほとんど触れる程度でも漕げるはずです。

①のように、骨盤を立てたまま(みぞおちからの前傾を保ったまま)立ち上がって、身体を体幹の筋力を使って支えながら、脚はダブルタイムで回す。これができるためには、股関節に無駄な力が加わってはいけません。そのためには、重心位置はペダルクランクの真上にあるのが最適です。

そしてこの①の姿勢は、そのままポジション3スタンディングファストの姿勢にもなります。スタンディングファストが苦手な方、立ち上がったときに②の姿勢になっていませんか?②で早いペダリングをすると、すぐに太腿に疲れが来てしまい、心肺系の限界(息が上がる)よりも脚がつかれてついていけなくなってきます。スタンディングファストでも真上に立ち上がる意識を持ちましょう。

(実際には「真上」ではありませんよ。ほんとに真上に立ったらハンドル届きませんから)Ⓐから①に移行する際には、前方に立ち上がる意識でいくと、どうしても②のようになってしまいがち。そこで真上に立ち上がる意識くらいでちょうどいいと思います。そもそもⒶは座っているわけですから重心位置はサドルにあります。それを立ち上がってペダルクランク真上に持って行くのですが、腰を立てたまま立ち上がるためには、意識として「真上に」となるわけです。

それはそのまま「身体を上に引き上げたまま保つ」というポジション3ダブルのコツにも直結しますし、このときにポジション3のハンドルに伸ばした腕は脇を締めて体幹を使いやすくするコツも必要です。さらには、ペダリングの時に上から下に踏み込むのではなく、ペダル最下点直前に漕ぎ上げる「引き足」・・・すなわち「腿上げ」に近い漕ぎ方で、太腿への負荷を極小にする、というポジション3ダブルの漕ぎ方のお手本ができあがる基本姿勢の完成にもなるのです。

最後にもう一つ、模式図をご覧ください。

左側はお手本姿勢の①です。右側④は、①と骨盤の角度は同じ。腰の位置が数センチ下方に移動、そして前かがみ度合いが①よりも強くなっています。

④がポジション3ランの基本姿勢です。気持ちは①のままなのですが、脚をより早く回すためには、どうしても④の姿勢になるでしょう。インストラクターは①の姿勢のまま脚の回転数を上げていくだけのパワーとテクニックを持っていますが、われわれ一般人は、①よりもさらに体幹を固めて脚をフリーにするために④のような姿勢をキープするのがよいでしょう。

とはいえ・・・

ポジション3ダブルの克服こそ初級者がBB2に恐れずに挑戦できるキーポイントだという想いで、いろいろと考え方や漕ぎ方のコツについて書いていますが、読んで頭で理解するのと、それができるのは大違いですよね。

「ポジション3ダブルが漕げる」ようになるには、何度もチャレンジすることです。最初は漕げません。それでいいのです。96カウントのダブルがあるとすれば、はじめは16カウントでも32カウントでも半分でもいいのです。3回4回と受講するうちに、なにかの拍子に96カウント漕ぎ切れます。そしてそのうち、毎回漕ぎ切れるようになってくるのです。

私は、ポジション3ダブル克服を目指している方には、2つか3つのプログラム(最新の強度表で強度レベル5の下のほうから4にかけてのもの)を好みで選んで、集中して受講する事をお勧めしています。好きな音楽で全体の構成に慣れていくことも漕ぎ切れるようになる重要な要素です。

比較的若い方は漕げるようになるのは早いでしょう。また、このサイトに書いているような理論的な事はかまわずに漕げるようになるのかもしれません。一方、比較的年齢の高い方はゆっくりしか進歩できないでしょう。でもね...

室伏広治さん、ご存知ですよね。42歳になる年まで現役を続け、4度のオリンピック出場、アテネで金メダルを獲得したハンマー投げの「鉄人」で現スポーツ庁長官です。彼は、骨格筋の力と可動域(すなわちパワーと柔軟性ですね)は、年齢によって必ず衰えていく、しかし、神経は鍛えられる。頭で感じたイメージに近い動きを身体にさせる、という神経を鍛えることはいくつになってもできるんだ、と言っています。

身体にイメージどおりの動きをさせる事、これができればポジション3ダブルなんて、絶対に漕げるようになると思いませんか。

納得できる理論を知って、どう動けばいいかを頭で理解して、それを練習して身体に伝えていく、これこそがポジション3ダブル克服の近道です。ポジション3ダブルが漕げるようになったら、遠からずポジション3ランも漕げるようになります。そしてBB2やボディシェイプシリーズの広大な海が広がっています。

P3DTのコツが頭に入ったら、考えすぎないように、音楽を、レッスンを楽しみましょう。楽しむのが一番です。

みなさんの健闘を祈ります。


※模式図は判りやすくするためにデフォルメしてあります。ご承知おきください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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